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いじめの時間

4101339619いじめの時間
江国 香織 大岡 玲 角田 光代 野中 柊 湯本 香樹実 柳 美里 稲葉 真弓
新潮社 2005-03

by G-Tools


7人の作家による、いじめをテーマにした短編集。
いじめ、といっても、作家それぞれ視点やとらえ方が違っていて興味深い。
短編なので、テーマのわりには読みやすいな、というのが最初の印象。ただ、読み進めていくとやっぱり重い。ほんの些細なことから、ともするときっかけすらなく始まる疎外と嘲笑。暴力。重圧。じわじわと、不快感が胸に沈殿していく。

学校という現場、クラスという集団の中で自分がはじかれることは本当に怖ろしいことだった。どうして子どもの頃は皆から外れるということがあんな重い罪になったのだろうかと、私は今でも不思議でしょうがない。
ただ、これを機に思い出されたさまざまなどす黒い気持ちは、たしかに自分の根底にへばりついているもので、なんだか懐かしい気持ちすらした。妙な郷愁。私も、「いじめの時間」をたしかに過ごしてきたのだ。

* * *

作品ごと所感

大岡玲の作品が好きだ。亀に熱湯をかけることで日々の鬱憤を晴らす主人公。大人になっても残る傷跡。すさんだ破壊衝動はわからない人にはわからないのだ、という思考。その暗い喜び。ああ。

角田光代の作品は、水泳ができないのに水泳部に入り皆に蔑まれている主人公が、同じ水泳部のクラスメイトによってクラスでも疎外されていく様子を描いたもの。
この主人公の「自分を守るために皆を蔑んだ」という感覚が胸に刺さった。

湯本香樹実の作品は純粋に面白かった。いじめられっ子が、いじめっ子を一人一人呼び出し、一対一の勝負を申し込む。どこか飄々とした雰囲気で、いじめられっ子の決意を描く。なにやら爽快な気持ちすらしてくる。でも一番最後に重い結末が……。

稲葉真弓、初めてだったんだけどとても面白かった。人にあてた手紙だけの短編なのだけれど、いじめの現場から飛び出すことに成功した子の決意と未来への小さな希望が描かれている。この話が最後でよかった…となんだか救われた気がした。
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コメント

はじめまして
私は湯本香樹実「リターンマッチ」が一番印象的でした。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
「リターンマッチ」、ラストでずーんと重い余韻を残されました。
テーマのせいもあるけど、印象的な話が多かったですね。

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