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まほろ駅前多田便利軒

4163246703まほろ駅前多田便利軒
三浦 しをん
文藝春秋 2006-03

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東京のはずれ、まほろ市。
そこで便利屋をして暮らしている多田は、ある日高校のクラスメイトだった行天に再会した。
行天は無口な男だった。高校時代、行天が口をきいたのはたった一度だけ。けれど再会した行天は、あいかわらず変人ではあるものの普通に言葉を発するようになっていた。
帰るところがないらしい行天は、多田の事務所に居座るようになる。
便利屋稼業の傍ら、二人はさまざまな事件に巻き込まれていく。

* * *

さすがしをんさん! な一冊。
ああー、もう、ツボをギュッギュッと押さえてくれてます。
いい歳した男二人、離婚して帰郷しているあたり、
へたれですよねー…ツボですよー…(笑)
行天の、他人に興味なさそうなんだけど時どき優しいところとか、
つかみどころないのになぜか人に好かれるところとか。
多田の、お人よしなんだけども、決定的に自分を信じられないところとか。
そしてこの二人の、互いに踏み込まないけれど互いを気にかけている、という距離感…。
ことごとくがツボで、さらに文章もツボで。
ああー…しをんさん…。ついてゆきます。

* * *

言葉にできないこと、言葉にすること。
本当に気にしていることは簡単には言葉にはしたくないし、できないものかもしれない。
「俺は楽になりたくて話したわけじゃないんだ」
多田が行天にたいして持っている負い目。
妻だった人といたはずの子どもにたいして抱いている薄暗い感情。
言葉にするということは、形にするということだ。
形にするということは、なんらかの処理をするということだ。
もやもやと、胸を覆う感情を整理するということだ。

でも、たしかに変わる。
言葉にすることで、形にならなかったものが形をなし、
行き場のなかったなにかはどこかへ辿りついてしまう。
望む望まないにかかわらず、言葉にはそれだけの力があるのだと思う。

そんなことを考えたラストでした。
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イン・ザ・プール

416771101Xイン・ザ・プール
奥田 英朗
文藝春秋 2006-03-10

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神経科を舞台にしたオムニバス短編集。
患者以上に変な医者の、天真爛漫で荒唐無稽な治療(?)の数々。
精神科が出てくる話なんて、理屈っぽかったり説教くさかったり妙に癒しを主張していたりと、読んで疲れてしまうことも多いけれど(いや私はそういうのも好きなんだけど)、この話はまったく違う。
医者が変。しかも、ちょっとやそっとじゃなく、変。はちゃめちゃで、注射フェチで、マザコンで、子どもっぽくて……。いやあ、新鮮!
ゲラゲラ笑いながらあっという間に読み終えてしまった。

それは登場する患者も同じで、医者であるはずの伊良部の奇行にあっけにとられているうちに、ふっと冷めたり我に返ったりする。気付くと治っていたり。
推理小説みたいな明快な「ストレス→理由の解明、根絶→治癒」というストーリーはないけれど、逆に、実際はこーいうものかもしれないなぁ、と思ったりする。


…にしても、自意識過剰ですぐにのめりこむ性質の強い私には、中毒の症状が他人事と思えなかった(笑)。
うーん、わかるんだよなぁ。
なにかに没頭することで気を紛らそうとして、逆にそれにがっつりはまってしまって、いつのまにか抜け出せなくなってたりとか。気付くと身の回りをそれで埋め尽くして、それがないとソワソワ落ち着かない、イライラする…
でも、自意識過剰や中毒って、誰にでもそれなりにありそう。
携帯の話(「フレンズ」)なんて、そんな状態に陥ったことはないけど、気持ちはすごく理解できちゃう人、多いんじゃないかな。

ゆびのわものがたり

『ゆびのわものがたり<2>』
小野塚カホリ
祥伝社 2006-4

装丁がかわいい。

小野塚さんの短編のよさがくっきりと見える一冊でした。
オムニバスだから1巻がなくてもちゃんと読めます。
ゆびわにまつわる男女の恋物語をおさめてあるのですが、
たとえばソープ嬢と先生だったり、詐欺師と被害者だったり、
二人の関係がまた一癖。
そんな仲なのに向かう先はちゃんとハッピーエンドです。
私が素直にいいなあと思ったのはそのどれでもない10話なんですけどねー。
別れ話のときも涙を見せず「冷静だね」と言われてしまう女の子と、
彼女が唯一本心をさらけだせる友人の男の子の話。
好きな人の前だからこそかっこよくしようと努めてしまう、
それが逆目に出てしまう、彼女の性格に妙に共感。

小野塚さん、男同士の話だとわりと暗いというか出口のない話が多いんだけど、
そして初期の男女ものもわりとそうなんだけど(時代のせいかな…)、
ここ何年かは男女ものは突き抜けた明るさを持つようになっている気がする。
それが物足りない時期もあったんだけど…
ここ最近の新刊では、筆が落ち着いているように感じます。

フラワー・オブ・ライフ

4403618294フラワー・オブ・ライフ (3)
よしなが ふみ
新書館 2006-04

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3巻!
このへんは全部雑誌で読んでいたんだけど、やっぱりさすがだなーと唸ってしまった。
「僕はずっと
 その子と違う意見を言った時は
 もうその子とは友達じゃなくなる時なんだと思ってた」
10話での翔太のこのモノローグは、私も思ったことがある言葉だ。
自分の思いを主張することは、とてもとても難しい。相手が好きな人、大事な人であればなおさら、衝突するのも否定されるのも怖くなる。
言いたいことを言い合って、そのうえで相手を大事に思うことはすごく難しいことのような気がするのだけれど、よしながさんの漫画を読むと、それも可能なのかもしれない、と明るい気持ちになる。

そ、そして真島が! まーじーまーがーー!!
いやあ…ホントおもしろいわ、この子……。
ツ ン デ レ … !
そうきたか、という衝撃の最終コマでした。爆笑。

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